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平成25年(ネ)第10051号特許権侵害行為差止等請求控訴事件

16.04.28 判例

【判決日】平成27年11月19日 【事件番号】平成25年(ネ)第10051号 特許権侵害行為差止等請求控訴事件 (http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/569/085569_hanrei.pdf) 【キーワード】技術的範囲、明細書の参酌 【ひとこと】 ・印刷欠陥の検出に用いる閾値とインキキー開度の調整に用いる濃度差等とが「同じデータ形式」である必要があるか否かに関して、明細書中では処理毎に異なるデータ形式を用いる具体例の記載がないことなどが考慮されて、同じデータ形式である必要があると限定解釈されました。明細書の記載に基づく技術的範囲の解釈の例として参考になると思います。 【判決要旨】 1.結論 被告製品1は、本件発明1の技術的範囲に属しないから、本件特許権1の侵害に基づく控訴人の請求は理由がない。 2.事案の概要 控訴人は、被控訴人が被告製品1を製造,販売等する行為は,控訴人の有する,発明の名称を「印刷物の品質管理装置及び印刷機」とする特許権(特許番号第3790490号。本件特許権1)を侵害する行為であると主張し,被控訴人に対し,被告製品1の製造,販売等の差止め、廃棄を求めるとともに,損害賠償請求を求めた。原判決では被告製品1は本件発明1の技術的範囲に属しないと判断されて請求が棄却され、控訴人がその判決の取消しを求めた事案である。 3.発明の内容 [本件特許1に係る請求項1の記載(本件発明1)]※下線部は特許査定前の補正箇所 A 印刷機の印刷部の下流に配置されて上記印刷部で用紙に印刷された印刷絵柄を読み取るラインセンサ(50)と, B 当該ラインセンサで読み取られた印刷絵柄データを記憶する印刷絵柄データ記憶部(401)と, C 上記印刷絵柄の見本となる見本絵柄データを取得するデータ取得手段(50,70)と, D 当該データ取得手段が取得した見本絵柄データを記憶する見本絵柄データ記憶部(402)と, E 上記印刷絵柄データ記憶部が記憶した印刷絵柄データと上記見本絵柄データ記憶部が記憶した見本絵柄データとを上記ラインセンサの画素単位或いは所定画素数のブロック単位で比較して上記画素毎或いは上記ブロック毎に濃度差或いは濃度に相関するパラメータ値の差を計算し,計算した差と所定の閾値との比較によ

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平成25年(ネ)第10051号特許権侵害行為差止等請求控訴事件

16.04.12 判例

【判決日】平成27年11月19日 【事件番号】平成25年(ネ)第10051号 特許権侵害行為差止等請求控訴事件 (http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/569/085569_hanrei.pdf) 【キーワード】技術的範囲、明細書の参酌 【ひとこと】 ・印刷欠陥の検出に用いる閾値とインキキー開度の調整に用いる濃度差等とが「同じデータ形式」である必要があるか否かに関して、明細書中では処理毎に異なるデータ形式を用いる具体例の記載がないことなどが考慮されて、同じデータ形式である必要があると限定解釈されました。明細書の記載に基づく技術的範囲の解釈の例として参考になると思います。 【判決要旨】 1.結論 被告製品1は、本件発明1の技術的範囲に属しないから、本件特許権1の侵害に基づく控訴人の請求は理由がない。 2.事案の概要 控訴人は、被控訴人が被告製品1を製造,販売等する行為は,控訴人の有する,発明の名称を「印刷物の品質管理装置及び印刷機」とする特許権(特許番号第3790490号。本件特許権1)を侵害する行為であると主張し,被控訴人に対し,被告製品1の製造,販売等の差止め、廃棄を求めるとともに,損害賠償請求を求めた。原判決では被告製品1は本件発明1の技術的範囲に属しないと判断されて請求が棄却され、控訴人がその判決の取消しを求めた事案である。 3.発明の内容 [本件特許1に係る請求項1の記載(本件発明1)]※下線部は特許査定前の補正箇所 A 印刷機の印刷部の下流に配置されて上記印刷部で用紙に印刷された印刷絵柄を読み取るラインセンサ(50)と, B 当該ラインセンサで読み取られた印刷絵柄データを記憶する印刷絵柄データ記憶部(401)と, C 上記印刷絵柄の見本となる見本絵柄データを取得するデータ取得手段(50,70)と, D 当該データ取得手段が取得した見本絵柄データを記憶する見本絵柄データ記憶部(402)と, E 上記印刷絵柄データ記憶部が記憶した印刷絵柄データと上記見本絵柄データ記憶部が記憶した見本絵柄データとを上記ラインセンサの画素単位或いは所定画素数のブロック単位で比較して上記画素毎或いは上記ブロック毎に濃度差或いは濃度に相関するパラメータ値の差を計算し,計算した差と所定の閾値との比較によ

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平成25年(ワ)第32665号/平成26年(ネ)第10124号特許権侵害差止請求事件

16.04.12 判例

A.原審 【判決日】平成25年10月30日 【事件番号】平成25年(ワ)第32665号 特許権侵害差止請求事件 (http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/598/084598_hanrei.pdf ) 【キーワード】機能的クレームの解釈 B.控訴審 【判決日】平成27年12月16日 【事件番号】平成26年(ネ)第10124号 特許権侵害差止請求控訴事件 (http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/558/085558_hanrei.pdf ) 【キーワード】特許の有効性(新規性) 機能的クレーム A.原審 1.事件の概要 発明の名称「シートカッター」とする特許権を有する原告が,被告による製品の製造,譲渡等が本件特許権の侵害に当たるとして,被告に対しその差し止め等を求め、侵害が認められた事案である。 2.本件特許発明 A 第1の刃と, B 第2の刃と, C 前記第1の刃と前記第2の刃を設けた本体と, D 前記本体と可動的に接続されたガイド板とを有し, E 前記本体が前記ガイド板に対して動くことにより前記ガイド板から前記第1の刃または前記第2の刃が出る F ことを特徴とするカッター。 3.被告製品 a~c 刃1及び刃2が留め具4及び留め具5によって本体3(回転板)に固定されている。 d 本体3は3か所の接続部7を介してガイド板6(固定板)に接続されている。接続部7は,本体3に設けた円弧状の溝に,ガイド板6に設けた突起部を摺動可能に嵌合したものであり,本体3に対してガイド板6は上記溝の範囲で左右に円弧状に動くことができる。 e ガイド板6をシートに当接して固定し,本体3をガイド板6に対し左又は右に円弧状に動かすと,ガイド板6によって刃先が隠されていた刃1又は刃2がガイド板6から外へ出てくる。この状態で被告製品をガイド板6に沿って左右に動かすと,シートを切断することができる。 f シートカッターである。 4.争点 被告製品の構成要件D及びEの充足性等 5.裁判所の判断 (1)機能的クレームの解釈 本件特許の特許請求の範囲には,構成要件Dとして「前記本体と可動的に接続されたガイド板」と,構成要件Eとして「前記本体が前記ガ

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平成27年(ネ)10109号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件

16.04.01 判例

【判決日】平成28年2月9日 【事件番号】平成27年(ネ)10109号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件 http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/666/085666_hanrei.pdf 【原審】大阪地裁平成26年(ワ)第3119号 【キーワード】虚偽事実の陳述流布 譲渡の申出 【判決要旨】 A.結論 本件控訴に基づき、原判決中、一審被告敗訴部分を取り消す。 上記取消部分につき一審原告の請求を棄却する。 (要するに、一審での原告の請求をすべて却下する、ということ) B.事案の概要 日亜化学(一審被告)は,発明の名称を「発光ダイオード」とする発明に係る特許(特許第4530094号)の特許権者であるところ,エレテック(一審原告)が,物件目録記載の各製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出を行っており,エレテックによる当該輸入,譲渡又は譲渡の申出が上記特許権の侵害に当たるとして,エレテックに対し特許権侵害訴訟を提起するとともに,プレスリリース目録に記載のとおりのプレスリリースを日亜のウェブサイト上に掲載した。 本件は,エレテックが,日亜に対し,日亜による上記プレスリリースの掲載が虚偽事実の陳述流布(不競法2条1項14号(現行法15号)所定の不正競争行為)に該当するとして,同法4条に基づき,損害445万円及びその遅延損害金の支払を求めるとともに,日亜による上記訴訟の提起等が不法行為を構成するとして,不法行為(民法709条)に基づき,損害55万円及びその遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は,エレテックの請求について,不競法4条に基づく110万及びその遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し,その余の請求を棄却した。これに対し,日亜は,その敗訴部分を不服として控訴を提起し,さらに,エレテックにおいても,その敗訴部分を不服として,附帯控訴を提起した。 C.当裁判所の判断 当裁判所は,一審被告による本件プレスリリースの掲載については,一審被告に不正競争防止法4条の過失があるとは認められないから,一審原告の一審被告に対する同条に基づく損害賠償請求は理由がなく,また,一審被告による先行訴訟の提起等が不法行為を構成するものではないから,一審原告の一審被告に対する民法709条に基づく損害賠償請求も理由がない

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判例紹介「計器パネルおよび計器パネル向けのボードユニット」審決取消請求事件

16.04.01 判例

【判決日】平成27年12月17日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10245号 審決取消請求事件 http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/555/085555_hanrei.pdf 【キーワード】容易想到性 【ひとこと】 被告が主張するように,引用発明に周知技術1,2を適用しても引用発明の課題を解決できるといえるので,阻害要因は存在しないようにも思います。しかし,裁判所は,引用発明は2倍の作業面を得つつ空間へのアクセスをよくする効果を奏するのであるから,あえて周知技術1,2を適用することに容易に想到し得ないと判断しています。判断の結果に若干疑問はありますが,判断手法は,拒絶対応において参考になると考えます。 【判決要旨】 1.結論 原告の請求には理由があるから,これを認容し,審決を取り消す。 2.事案の概要 本件は,発明の名称を「計器パネルおよび計器パネル向けのボードユニット」とする発明についての拒絶査定不服審判の審決の取り消しを求める審決取消訴訟である。争点は,相違点1に係る容易想到性の判断の誤りである。 3.本件発明 [請求項1] 自動車向けの計器パネル(10)であって,前記パネルの外殻(20)に対して枢動するように前記自動車の前方移動の方向を見たときに観察すると前縁部で支持された持上げ可能カバー(30)を上側に備え,前記持上げ可能カバー(30)の下に格納空間(40)が区切られる,計器パネル(10)において, 前記カバーと前記格納空間の間で前記外殻(20)に対して枢動するように横縁部(62)で支持されたボードユニット(50)であって, 両横縁部(74,64)で互いに対して枢動可能に接続された1対のボード板(70,60)をさらに備え,したがって前記ボード板のうちの第1のボード板(70)を,前記カバー(30)の下で前記ボード板のうちの第2のボード板(60)に当接する後退させた作業位置から,前記第2のボード板(60)と実質上水平の平面内に位置する展開された作業位置へ展開できるボードユニット(50)を特徴とする計器パネル(10)。 4.審決で認定された引用発明との相違点,周知技術 (1)相違点 (ア)相違点1:「カバーと格納空間の間で,外殻に対して相対移動可能に支持される作業テーブ

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平成26年(行ヒ)第356号 審決取消請求事件

15.12.02 判例

【判決日】平成27年11月17日 【事件番号】平成26年(行ヒ)第356号 審決取消請求事件 (http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/467/085467_hanrei.pdf ) 【キーワード】延長登録出願、拒絶査定、先行処分 【判決要旨】 1.結論 上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。 2.事案の概要 抗がん剤に関する特許権者である被上告人(ジェネンテク,インコーポレイテッド)は、医薬品医療機器等法(平成25年改正前の薬事法)上の製造販売の承認を受けるために特許発明の実施ができない期間があったことを理由に特許権の存続期間の延長登録の出願をしたが拒絶査定を受けたため、拒絶査定不服審判の請求を行ったが不成立とされた。そのため、これを不服として、被上告人が特許庁の審決の取り消しを求めた事案で、本最高裁判決では、特許庁側の上告を棄却し、審決を取り消すとする知財高裁の判決が確定した。 3.事実経過 (1)本件特許(請求項の数は11である。)は,発明の名称を血管内皮細胞増殖因子アンタゴニストとして,平成4年10月28日に特許出願がされ,平成15年2月14日に設定登録がされた。特許請求の範囲の請求項1は以下の通りである。 【特許請求の範囲】 【請求項1】抗VEGF抗体であるhVEGFアンタゴニストを治療有効量含有する,癌を治療するための組成物。 (2)被上告人は,平成21年9月18日,販売名を「アバスチン点滴静注用100mg/4mL」,一般名を「ベバシズマブ(遺伝子組換え)」とする医薬品(「本件医薬品」)につき,医薬品医療機器等法14条9項の規定による医薬品の製造販売の承認事項の一部変更承認を受けた(「本件処分」)。本件医薬品は,その有効成分を本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された「抗VEGF抗体であるhVEGFアンタゴニスト」に当たる「ベバシズマブ(遺伝子組換え)」とし,効能又は効果を「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」とし,用法及び用量を「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人にはベバシズマブとして1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。」などとするものである。本件医薬品の製造販売は,本件特許権の特許発明の実施に当たる。 (3)

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平成27年(ワ) 第1025号 特許権侵害差止請求事件

15.12.02 判例

平成27年(ワ) 第1025号 特許権侵害差止請求事件(http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/436/085436_hanrei.pdf) 原告 サントリーホールディングス株式会社 被告 アサヒビール株式会社 【結論】 原告の請求を棄却する。 【事案の概要】 本件は, 発明の名称を「pHを調整した低エキス分のビールテイスト飲料」とする特許権を有する原告が、被告に対し、被告製品の製造等が特許権の侵害に当たると主張して、その差し止め等を求める事案である。 被告は、被告製品が本件発明の技術的範囲に属することを争っていない。争点は、本件特許が特許無効審判による無効にされるべきものとして原告が本件特許権を行使することができないか否かである。 本件特許は、エキス分の総量,pH,糖質の各成分のうち1つのみが相違する公然実施発明1,2に対して進歩性がないとして、無効にされるべきものと判断された。 【本件発明の要旨】 【請求項1】 エキス分の総量が0.5重量%以上2.0重量%以下であるノンアルコールのビールテイスト飲料であって,pHが3.0以上4.5以下であり,糖質の含量が0.5g/100ml以下である,前記飲料。 (なお、アンダーラインは補正により追加または変更、太線部は訂正により追加) 【被告の主張】 (1)サポート要件違反 (2)実施可能要件違反 (3)補正要件違反 (4)オールフリーに係る発明(公然実施発明1)に基づく進歩性欠如 (被告の主張) オールフリーが本件特許の優先日前に発売されたことにより,オールフリー(原告の製品)に係る発明(公然実施発明1)は日本国内において公然実施をされた発明となった。  ア 公然実施発明1の構成 ① エキス分の総量が0.39重量%であるノンアルコールのビールテイスト飲料である, ② pHは3.78である, ③ 糖質の含量は0.5g/100ml未満である、前記飲料。 イ 本件特許の優先日前においては,アルコールの有無にかかわらず,飲料中のエキス分が低い場合に,風味,ボディ感,コク味ないし味の厚みに欠けることは当業者に広く知られていた。そして,オールフリーについては,多くの消費者から,「コクがない」,「味が薄い」等の厳しい評価を受けており,コク(飲み応

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平成26年(ネ)10126号 職務発明対価請求控訴事件

15.10.06 判例

【判決日】平成27年7月30日 【事件番号】平成26年(ネ)10126号 職務発明対価請求控訴事件(http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/282/085282_hanrei.pdf) 【キーワード】職務発明 相当の対価 不合理 【ひとこと】 平成16年改正法下では、特許法第35条第4項に「契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合には、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況……等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであってはならない。」と定められています。 しかし、野村證券(株)のような大会社がこの条文を無視又は軽視していたのは、意外でした。同社は、メーカーではないため、出願件数が少なく(公開件数 2015年3件、2014年2件、2013~2010年ゼロ)、社内に特許法第35条が改正されたことを知るものがいなかったのかもしれません。 平成27年改正法下でも、この規定は特許法第35条第5項となってほぼそのまま残っています。そのため、企業としては、対価を決定するための基準の策定に際して、「協議」「基準の開示」「意見の聴取」を実施し、その記録をとどめておくことが今後も必要になります。対価を決定するための基準の策定について顧客から尋ねられたときに参考にして下さい。 なお、「協議」「基準の開示」「意見の聴取」は条文上例示されている要件にすぎず、必須要件ではありませんが、これらの項目を実施していることが望ましいと思われます。 【判決要旨】 当裁判所も,控訴人の請求は,理由がないものと判断する。 (中略) (1) 被控訴人発明規程の適用について 控訴人は,平成20年5月12日に被控訴人に雇用され,遅くとも平成22年8月23日までに単独又は共同で本件発明をしたから(本件発明が控訴人の単独発明であるか否かについては,当事者間に争いがある。),本件発明は,平成20年5月12日以降に発明されたものである。 引用に係る原判決の「事実及び理由」欄の第2,1の前提事実に認定のとおり,被控訴人発明規程1は,職務発明について,①出願を行ったとき,②特許権を取得したとき,及び③発明の実施により被控訴人が金銭的利益を得た

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判例紹介「日中活動量の低下および/又はうつ症状の改善のための医薬組成物」審決取消請求事件

15.10.06 判例

【判決日】平成27年8月20日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件 (http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/283/085283_hanrei.pdf) 【キーワード】進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断) 【ひとこと】 ・本願発明と同じ用途(うつ病)が引用例2に記載されていますが、「多数の症状・疾患の中から特に「うつ病」を選択する動機付けがない」と判断されて進歩性が認められました。 ・この裁判例によれば、本願発明と同じ内容やその上位概念の内容が引用例に記載されている場合でも、実質的な引用例の明細書の内容によっては相違点と認定され、進歩性が認められることがありうると考えられます。特に今回の事例では、引用例2の特許請求の範囲にも「うつ病」への適用が記載されているにも関わらず(請求項14)、「うつ病」への用途が相違点として認められています。また、逆に、明細書に種々の例を記載していても、単に記載しただけでは後願を排除できない場合がありうるということも示されていると思います。 ・本件は医薬品の発明であり、いわゆる用途発明の事例ではありますが、特に化学分野など効果の裏付けが重要視される分野で参考になると思います。 【判決要旨】 1.結論 原告主張の取消事由1及び2はいずれも理由があるから,本件審決は取消しを免れない。 2.事案の概要 原告は,発明の名称を「日中活動量の低下および/又はうつ症状の改善作用を有する組成物」とする発明について特許出願(以下「本願」)をし,拒絶査定を受けた。そこで,原告は,これに対する不服の審判を請求するとともに,同日付け手続補正書により特許請求の範囲を補正した(以下「本件補正」)ところ、「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」)を受けた。本件は、原告がその審決の取消を求めた事案である。 3.発明の内容 【請求項4】(本願補正発明)※取消線は、審判段階での補正 構成脂肪酸の一部又は全部がアラキドン酸であるトリグリセリドを含んで成る,日中活動量の低下および/又はうつ症状の改善のための医薬組成物。 4.審決の要点 <審決の理由> (取消事由1:本件補正発明は、引用例1に記載された発明に基づいて進歩性がな

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判例紹介「マテリアル取扱システム」審決取消請求事件

15.09.03 判例

【判決日】平成27年7月9日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10253号 審決取消請求事件 http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/206/085206_hanrei.pdf 【キーワード】容易想到性,技術的意義,動機付け 【ひとこと】 裁判所は,甲2発明の技術的意義から動機付けの有無を検討し,甲2発明に「水平移動可能な移動ステージ」を設けることは阻害要因があると判断しています。ここで,甲2には,移動体3を,移動方向の左右両側に屈曲アーム20bを備える連絡用移動体4と同一構成としてもよい変形例が明示されており,阻害要因があるといえるかは若干疑問があります。ただし,その変形例では,ステーションSTと物品保持部BSとをいずれも水平位置としており,ステーションSTとの間での移載と物品保持部BSとの間での移載とを同じ動作で行うという特徴的な技術事項は甲2で一貫しているといえます。このため,裁判所は,そのような特徴的な技術事項が損なわれることに阻害要因を認めたものといえます。 【判決要旨】 1.結論 原告の請求には理由があるから,これを認容し,審決を取り消す。 2.事案の概要 本件は,被告が請求した特許無効審判において,「請求項1ないし2,5ないし6に係る発明についての特許を無効とする」とされた成立審決に対する取消訴訟である。争点は,進歩性の有無である。 3.本件発明(下線は訂正箇所) [請求項1] 自動化されたマテリアル取扱システムであって, カセットポッドを保持するように設定された固定棚と, オーバーヘッドホイストを搭載したオーバーヘッドホイスト搬送車を含むオーバーヘッドホイスト搬送サブシステムであって,前記オーバーヘッドホイストは,水平移動可能な移動ステージ及びこの移動ステージに取り付けられ前記移動ステージの水平移動によって水平移動可能で且つそれ自体が垂直移動可能なカセットポッドを把持するホイスト把持部を有し,前記オーバーヘッドホイスト搬送車は,前記ホイスト把持部でカセットポッドを把持した状態で固定棚に隣接する所定経路を画定する懸架軌道に沿って吊り下げられて移動し且つ前記オーバーヘッドホイストを前記懸架軌道よりも下方位置に搭載するように構成された前記オーバーヘッドホイスト搬送サブシステ

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