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新着情報

平成27年(ワ) 第1025号 特許権侵害差止請求事件

15.12.02 判例

平成27年(ワ) 第1025号 特許権侵害差止請求事件(http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/436/085436_hanrei.pdf) 原告 サントリーホールディングス株式会社 被告 アサヒビール株式会社 【結論】 原告の請求を棄却する。 【事案の概要】 本件は, 発明の名称を「pHを調整した低エキス分のビールテイスト飲料」とする特許権を有する原告が、被告に対し、被告製品の製造等が特許権の侵害に当たると主張して、その差し止め等を求める事案である。 被告は、被告製品が本件発明の技術的範囲に属することを争っていない。争点は、本件特許が特許無効審判による無効にされるべきものとして原告が本件特許権を行使することができないか否かである。 本件特許は、エキス分の総量,pH,糖質の各成分のうち1つのみが相違する公然実施発明1,2に対して進歩性がないとして、無効にされるべきものと判断された。 【本件発明の要旨】 【請求項1】 エキス分の総量が0.5重量%以上2.0重量%以下であるノンアルコールのビールテイスト飲料であって,pHが3.0以上4.5以下であり,糖質の含量が0.5g/100ml以下である,前記飲料。 (なお、アンダーラインは補正により追加または変更、太線部は訂正により追加) 【被告の主張】 (1)サポート要件違反 (2)実施可能要件違反 (3)補正要件違反 (4)オールフリーに係る発明(公然実施発明1)に基づく進歩性欠如 (被告の主張) オールフリーが本件特許の優先日前に発売されたことにより,オールフリー(原告の製品)に係る発明(公然実施発明1)は日本国内において公然実施をされた発明となった。  ア 公然実施発明1の構成 ① エキス分の総量が0.39重量%であるノンアルコールのビールテイスト飲料である, ② pHは3.78である, ③ 糖質の含量は0.5g/100ml未満である、前記飲料。 イ 本件特許の優先日前においては,アルコールの有無にかかわらず,飲料中のエキス分が低い場合に,風味,ボディ感,コク味ないし味の厚みに欠けることは当業者に広く知られていた。そして,オールフリーについては,多くの消費者から,「コクがない」,「味が薄い」等の厳しい評価を受けており,コク(飲み応

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平成26年(ネ)10126号 職務発明対価請求控訴事件

15.10.06 判例

【判決日】平成27年7月30日 【事件番号】平成26年(ネ)10126号 職務発明対価請求控訴事件(http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/282/085282_hanrei.pdf) 【キーワード】職務発明 相当の対価 不合理 【ひとこと】 平成16年改正法下では、特許法第35条第4項に「契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合には、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況……等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであってはならない。」と定められています。 しかし、野村證券(株)のような大会社がこの条文を無視又は軽視していたのは、意外でした。同社は、メーカーではないため、出願件数が少なく(公開件数 2015年3件、2014年2件、2013~2010年ゼロ)、社内に特許法第35条が改正されたことを知るものがいなかったのかもしれません。 平成27年改正法下でも、この規定は特許法第35条第5項となってほぼそのまま残っています。そのため、企業としては、対価を決定するための基準の策定に際して、「協議」「基準の開示」「意見の聴取」を実施し、その記録をとどめておくことが今後も必要になります。対価を決定するための基準の策定について顧客から尋ねられたときに参考にして下さい。 なお、「協議」「基準の開示」「意見の聴取」は条文上例示されている要件にすぎず、必須要件ではありませんが、これらの項目を実施していることが望ましいと思われます。 【判決要旨】 当裁判所も,控訴人の請求は,理由がないものと判断する。 (中略) (1) 被控訴人発明規程の適用について 控訴人は,平成20年5月12日に被控訴人に雇用され,遅くとも平成22年8月23日までに単独又は共同で本件発明をしたから(本件発明が控訴人の単独発明であるか否かについては,当事者間に争いがある。),本件発明は,平成20年5月12日以降に発明されたものである。 引用に係る原判決の「事実及び理由」欄の第2,1の前提事実に認定のとおり,被控訴人発明規程1は,職務発明について,①出願を行ったとき,②特許権を取得したとき,及び③発明の実施により被控訴人が金銭的利益を得た

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判例紹介「日中活動量の低下および/又はうつ症状の改善のための医薬組成物」審決取消請求事件

15.10.06 判例

【判決日】平成27年8月20日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件 (http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/283/085283_hanrei.pdf) 【キーワード】進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断) 【ひとこと】 ・本願発明と同じ用途(うつ病)が引用例2に記載されていますが、「多数の症状・疾患の中から特に「うつ病」を選択する動機付けがない」と判断されて進歩性が認められました。 ・この裁判例によれば、本願発明と同じ内容やその上位概念の内容が引用例に記載されている場合でも、実質的な引用例の明細書の内容によっては相違点と認定され、進歩性が認められることがありうると考えられます。特に今回の事例では、引用例2の特許請求の範囲にも「うつ病」への適用が記載されているにも関わらず(請求項14)、「うつ病」への用途が相違点として認められています。また、逆に、明細書に種々の例を記載していても、単に記載しただけでは後願を排除できない場合がありうるということも示されていると思います。 ・本件は医薬品の発明であり、いわゆる用途発明の事例ではありますが、特に化学分野など効果の裏付けが重要視される分野で参考になると思います。 【判決要旨】 1.結論 原告主張の取消事由1及び2はいずれも理由があるから,本件審決は取消しを免れない。 2.事案の概要 原告は,発明の名称を「日中活動量の低下および/又はうつ症状の改善作用を有する組成物」とする発明について特許出願(以下「本願」)をし,拒絶査定を受けた。そこで,原告は,これに対する不服の審判を請求するとともに,同日付け手続補正書により特許請求の範囲を補正した(以下「本件補正」)ところ、「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」)を受けた。本件は、原告がその審決の取消を求めた事案である。 3.発明の内容 【請求項4】(本願補正発明)※取消線は、審判段階での補正 構成脂肪酸の一部又は全部がアラキドン酸であるトリグリセリドを含んで成る,日中活動量の低下および/又はうつ症状の改善のための医薬組成物。 4.審決の要点 <審決の理由> (取消事由1:本件補正発明は、引用例1に記載された発明に基づいて進歩性がな

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判例紹介「マテリアル取扱システム」審決取消請求事件

15.09.03 判例

【判決日】平成27年7月9日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10253号 審決取消請求事件 http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/206/085206_hanrei.pdf 【キーワード】容易想到性,技術的意義,動機付け 【ひとこと】 裁判所は,甲2発明の技術的意義から動機付けの有無を検討し,甲2発明に「水平移動可能な移動ステージ」を設けることは阻害要因があると判断しています。ここで,甲2には,移動体3を,移動方向の左右両側に屈曲アーム20bを備える連絡用移動体4と同一構成としてもよい変形例が明示されており,阻害要因があるといえるかは若干疑問があります。ただし,その変形例では,ステーションSTと物品保持部BSとをいずれも水平位置としており,ステーションSTとの間での移載と物品保持部BSとの間での移載とを同じ動作で行うという特徴的な技術事項は甲2で一貫しているといえます。このため,裁判所は,そのような特徴的な技術事項が損なわれることに阻害要因を認めたものといえます。 【判決要旨】 1.結論 原告の請求には理由があるから,これを認容し,審決を取り消す。 2.事案の概要 本件は,被告が請求した特許無効審判において,「請求項1ないし2,5ないし6に係る発明についての特許を無効とする」とされた成立審決に対する取消訴訟である。争点は,進歩性の有無である。 3.本件発明(下線は訂正箇所) [請求項1] 自動化されたマテリアル取扱システムであって, カセットポッドを保持するように設定された固定棚と, オーバーヘッドホイストを搭載したオーバーヘッドホイスト搬送車を含むオーバーヘッドホイスト搬送サブシステムであって,前記オーバーヘッドホイストは,水平移動可能な移動ステージ及びこの移動ステージに取り付けられ前記移動ステージの水平移動によって水平移動可能で且つそれ自体が垂直移動可能なカセットポッドを把持するホイスト把持部を有し,前記オーバーヘッドホイスト搬送車は,前記ホイスト把持部でカセットポッドを把持した状態で固定棚に隣接する所定経路を画定する懸架軌道に沿って吊り下げられて移動し且つ前記オーバーヘッドホイストを前記懸架軌道よりも下方位置に搭載するように構成された前記オーバーヘッドホイスト搬送サブシステ

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判例紹介「車両用指針装置」審決取消請求事件

15.08.14 判例

【判決日】平成27年6月30日 【事件番号】平成26年(行ケ) 第10236号 審決取消請求事件(http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/195/085195_hanrei.pdf) 【結論】 審決を取り消す。 【事案の概要】 本件は, 被告の特許無効審判請求により原告の特許を無効とした審決の取消訴訟である。具体的には、発明の名称を「車両用指針装置」とする発明(特許第3477995号)について被告からなされた無効審判の審判手続(無効審判請求(無効2012-800143号) における請求不成立の審決を取り消した判決(平成25年(行ケ)第10154号) 後の審判手続)において,特許権者である原告が請求項1~3に係る特許請求の範囲の訂正請求(本件訂正)をしたところ,審決は,請求項1に係る訂正は,新規事項の追加に当たるとしてこれを認めず,訂正後の請求項2及び3についての進歩性を否定する無効審決をしたため,原告が,上記審決の取消訴訟を提起した事案である。 争点は,訂正に関しての新規事項の追加の有無及び進歩性の有無である。 【本件発明の要旨】 【請求項1】「目盛り板(20)と, この目盛り板上にて指示表示する指針(30)と, 前記目盛り板を光により照射する照射手段(50)とを備えた車両用指針装置において,車両のキースイッチ(IG)のオフに伴い前記目盛り板照射手段の照射光の輝度を,前記キースイッチのオン状態の当該目盛り板照射手段の照射光の初期輝度から徐々に低下させるように制御し, 前記キースイッチのオフに伴い前記目盛り板照射手段の照射光の輝度が徐々に低下している状態で前記キースイッチがオンされると, 前記目盛り板照射手段の照射光の輝度を前記キースイッチがオンされるタイミングで零にし, このキースイッチがオンされるタイミングから遅延させて前記目盛り板照射手段の輝度を前記初期輝度に戻すように制御する制御手段(112, 112A, 113, 113A, 121乃至124, 130, 130A)を備えることを特徴とする車両用指針装置。 」 【請求項2】「目盛り板(20)と, この目盛り板上に指示表示する発光指針(30)と, 前記目盛り板を光により照射する目盛り板照射手段(50)と, 前記発光指針を光により照射して発光させ

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平成26年(ネ)第10107号特許権侵害行為差止等請求控訴事件

15.06.08 判例

【判決日】平成27年5月14日 【事件番号】平成26年(ネ)第10107号 特許権侵害行為差止等請求控訴事件(http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/098/085098_hanrei.pdf) (原審:大阪地裁 平成25年(ワ)第5744号) 【キーワード】技術的範囲(文言侵害、均等侵害) 【ポイント】 ・被告方法は,ユーザ情報に対応する複数の品物の画像データの全てが一覧できる状態で,情報を外部へ出す方法をとっておらず,「一覧出力形式」との構成要件(構成要件1D)を充足しない。 ・被告方法及び被告装置のように,分類されたカテゴリーのうちのひとつのカテゴリーに限って,そのカテゴリー内の全ての画像を送信したりするように置き換えると,顧客は,わざわざ,他のカテゴリーにアクセスしたり,同一カテゴリー内の他の画像に切り替えたりしなければ,預けている全ての品物を把握することができないから,他の品物の存在を失念しているような場合には,預けている品物を確実に把握することができなくなる。そうすると,本件各発明の目的を達することができず,同一の作用効果を奏するものとは認められない。 【ひとこと】 ・構成要件1Dにおける「ユーザ情報に対応する画像データを一覧出力形式で送信する」点について、明細書の課題や実施形態などに基づいて、「顧客の1度の操作で」「預けた品物の全ての画像データが」「同一のウェブページ上で閲覧できるように顧客側に出力される」ものであると解釈されています。 ・これに対し、被告方法では「顧客が他のカテゴリーにアクセスしたりしなければ預けている全ての品物を把握することができない」ことを理由に,「他の品物の存在を失念しているような場合には,預けている品物を確実に把握することができなくなる。」と判断され、非侵害と判断されています。これに関しては、被告方法では全てのカテゴリー名が一覧表示されているため、カテゴリーを順次チェックしていけば全ての品物の把握は可能であり、本願発明の課題は解決できるとの解釈も可能なようにも思います。また、カテゴリー分けをして表示するだけで簡単に本件発明の権利範囲を回避できてしまうことになり、権利者に少し酷ではとも思いました。 ・ただし、本件では、「一覧出力形式」との文言を補正により追

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判例紹介:「2次元コード読取装置」審決取消請求事件

15.04.30 判例

平成27年(行ケ)第10115号 審決取消請求事件(http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/951/084951_hanrei.pdf) 【要約】 原告は、本件特許に係る請求項1及び2並びに明細書の記載について、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正審判を請求した。本件審判は,本件訂正発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,また,明確性要件を満たしていないため、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。本件審決における本件訂正発明と引用発明との相違点の認定は,その前提となる一致点の認定が相当でないことに加え、相互に関連する構成を相違点1~3に分説した点において,相当とはいえないものである。 【結論】 審決を取り消す。 【事案の概要】 本件は,原告が,特許庁が本件審判(訂正審判)の請求は成り立たないとした審決の取り消しを求める事案である。 【本件発明の要旨】 (請求項1) 複数のレンズで構成され,読み取り対象からの反射光を所定の読取位置に結像させる結像レンズと, 前記読み取り対象の画像を受光するために前記読取位置に配置され,その受光した光の強さに応じた電気信号を出力する複数の受光素子が2次元的に配列されると共に,当該受光素子毎に集光レンズが設けられた光学的センサと,該光学的センサへの前記反射光の通過を制限する絞りと, 前記光学的センサからの出力信号を増幅して,閾値に基づいて2値化し,2値化された信号の中から所定の周波数成分比を検出し,検出結果を出力するカメラ部制御装置と, を備える光学情報読取装置において, 前記読み取り対象からの反射光が前記絞りを通過した後で前記結像レンズに入射するよう,前記絞りを配置することによって,前記光学的センサから射出瞳位置までの距離を相対的に長く設定し, 前記光学的センサの中心部に位置する受光素子からの出力に対する前記光学的センサの周辺部に位置する受光素子からの出力の比が所定値以上となるように,前記射出瞳位置を設定して,露光時間などの調整で,中心部においても周辺部においても読取が可能となるようにしたことを特徴とする光学情報読取装置。 【本件審決の理由の要旨】 ア 引用発明(刊行物1に記

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判例紹介:「マイクロモジュールと非接触式近接通信手段を備える再現装置とからなる組立品」審決取消請求事件

15.04.30 判例

【判決日】平成27年3月31日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10129号 審決取消請求事件(http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/028/085028_hanrei.pdf) 【キーワード】相違点,容易想到性 【ひとこと】裁判所は,明細書の記載だけでなく,一般的文献等の記載も考慮して,「能動的」という用語の解釈を判断しています。このため,「能動的」のように当該発明の技術分野において一般的な用語を用いる際には,特許発明の技術的範囲が意図と異なるものとならないように,十分に注意して記載する必要があるといえます。また、今回の事案に限らず,意図に沿った形で限定した補正ができるように,下位概念の記載を設けることも検討すべきといえます。 【判決要旨】 1.結論 原告が主張する取消事由は理由がなく,本件請求は棄却すべきものと判断する。 2.事案の概要 本件は,発明の名称を「マイクロモジュールと非接触式近接通信手段を備える再現装置とからなる組立品」とする発明についての拒絶査定不服審判の審決の取り消しを求める審決取消訴訟である。争点は,一致点及び相違点の認定の誤り(取消事由1)および相違点の判断の誤り(取消事由2),手続き違背(取消事由3)である。 3.補正後の本件発明(下線は補正箇所) [請求項1] 端末との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置であって, チップを含むマイクロモジュールと, マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え, 読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナと,マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え, マイクロモジュールがアンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持され, チップが,非接触式であり,またアンテナを通して端末に無線周波数通信を伝送することができる無線周波数用のチップであることを特徴とする,携帯用通信装置。 4.審決における引用発明との相違点 (相違点1)「補正後の発明では,「読取装置」が,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を有するのに対し,刊行物発明では,「電子情報読み取り・書込み装置」について,そのような特定がなされ

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判例紹介:「水晶発振器と水晶発振器の製造方法」審決取消請求事件

15.04.15 判例

【判決日】平成26年10月9日 【事件番号】平成25年(行ケ)第10346号 審決取消請求事件 (http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/549/084549_hanrei.pdf) 【キーワード】新規事項の追加 【ポイント】 明細書中の2つの段落の各記載に係る構成の態様は,それぞれ独立したものであるから,そこに記載されているのは,各々独立した技術的事項であって,これらの記載を併せて,本件追加事項が記載されているということはできない。 【ひとこと】 ・実施形態の説明の後に、種々の変形例を記載することがありますが、複数の変形例を組み合わせた態様については、明細書に記載の範囲内とは言えないと判断されています。 ・訂正請求の際の新規事項追加に関する判決ですが、審査中の補正(特許法第17条の2第3項)においても同様の考え方が適用される可能性があるかもしれません。 ・【0043】は、変形例ではなく実施例1~4の説明をしているだけのようにも読めます。そうだとすると、【0041】の記載は「本実施例の変形例」として記載されているため、【0041】+【0043】の内容は単に「実施例+【0041】の変形例」という態様に過ぎず、明細書の記載の範囲内と言えるようにも思いますが、そのような判断はなされていません。 【判決要旨】 1.結論 訂正事項1及び2の追加は,特許法134条の2第1項ただし書及び同条9項が準用する同法126条5項に違反し,不適法であるから,原告主張の取消事由1は理由があり,取消事由2について判断するまでもなく,審決は違法であり,取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,特許庁が無効2012-800211号事件について平成25年11月18日にした審決を取り消す。 2.事案の概要 被告は,発明の名称を「水晶発振器と水晶発振器の製造方法」とする特許第4074935号(請求項数3)の特許権者である。 原告は,本件特許の請求項1ないし3に係る発明について,特許無効審判を請求し、被告は訂正請求をした。特許庁は,「請求のとおり訂正を認める。本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をした。本件は、原告がその審決の取消しを求めた事案である。 3.発明の内容 【請

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判例紹介:「固体麹の製造方法」審決取消請求事件

15.04.15 判例

【判決日】平成26年12月24日 【事件番号】平成26年(行ケ)第10103号 審決取消請求事件(http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/747/084747_hanrei.pdf) 【キーワード】相違点の看過,容易想到性 【ひとこと】 ・製麹工程における諸条件が,何を課題にするかによって適正な組み合わせが異なり,課題に適した組み合わせは,相当程度の試行錯誤なくして見出すことは困難であるとする判断は,製造方法における各条件の組み合わせで進歩性を見出していく際に参考になると考えます。 ・ただし,本願発明では,「温度及び湿度が任意に調整された前記回転ドラム本体内で」などと記載され,裁判所の判断でも「本件特許請求の範囲において「・・・前記製麹原料への菌糸の破精込みを活発に」するための各種条件等が十分特定されているかはともかく」とされており,発明の条件の特定が十分であるかは疑問があります。 【判決要旨】 1.結論 特許庁が無効2012-800196号事件について平成26年3月14日にした審決のうち,特許第4801443号の請求項3に係る発明についての特許を無効とする部分を取り消す。 2.事案の概要 本件は,発明の名称を「固体麹の製造方法」とする特許(特許第4801443号)の特許無効審判請求を一部不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,進歩性判断の当否である。 3.訂正後の本件発明3(請求項1,2は削除,下線は引例との相違箇所) [請求項3] 少なくとも製麹工程において,回転ドラムが用いられ,撒水又は浸漬,蒸煮,放冷等の原料処理工程を経て製麹可能となされた製麹原料に種麹を接種することにより固体麹を製造する方法において, 前記回転ドラムは,駆動装置により回転される回転ドラム本体と,この回転ドラム本体の内部に装着された品温センサを,少なくとも備え, 種麹の接種後,製麹原料の品温が上昇するまで製麹原料を静置すると共に, 前記回転ドラムが設置された室内の温度及び前記回転ドラム本体内の温度を,共に製麹開始温度となるように調節し, 製麹原料の品温上昇後に製麹原料を常にあるいは少なくとも1~10分間隔で間欠的に攪拌し, 前記製麹原料の攪拌が,前記回転ドラム本体の回転により生じる原料層の傾斜面からの

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